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沼津『ストリート今昔』展示風景

ぬましんストリートギャラリー での個展『ストリート今昔』、展示開始当日夜の展示風景です。会場等の詳細は 展示・公演予定 をご覧下さい。

街路に面した展示場所のため、美術館や画廊での展示と異なり偶然通りがかった多くの方に見ていただく事ができます。なかなかインパクトのある展示になっている様で、予想以上に多くの方に(本当に、通りがかった殆ど全ての方に)足を止めて見て下さる事ができ作家も喜んでいました。お近くの方は是非見にいらして下さい。

沼津は東海道線の駅ですので、東京方面からは新幹線で1〜1.5時間、鈍行でも2〜2.5時間で到着します。お近くにお寄りの際は是非お寄り下さい。

本日10月10日は同じ建物の4Fにて人形劇団ひとみ座「ひょっこりひょうたん島 泣いたトラヒゲの巻」の公演があります。当日券でいらっしゃる方はかならず主催へご確認を。(詳細)

沼津で個展『ストリート今昔』と公演『ひょっこりひょうたん島 泣いたトラヒゲの巻』

10月7日からは静岡県沼津の ぬましんストリートギャラリー にて個展『ストリート今昔』がスタートします。沼津信用金庫本店のショーウインドウを利用した、屋外の歩道から見るギャラリーでの展示です。この場所に合わせ、戦時中と現代、2つの時代のストリートをテーマとしたインスタレーション作品を展示します。

また10月10日には同じ建物の4F、ぬましんホールにて人形劇団ひとみ座「ひょっこりひょうたん島 泣いたトラヒゲの巻」の公演があります。こちらもお見逃し無く!

どちらも詳細は 展示・公演予定のページ をご覧下さい。

組立板立体 超次元の造形作品 III 片岡昌展 展示紹介(6)


アフリカンマザー(2002)


踊る(1994)


丸太脱出彫刻(1983-1986?)

片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 ポスター・チラシにも登場する『アフリカンマザー』は高さ3mにも及ぶ大きな作品ですが、収納時・運搬時には板状の各パーツをバラバラにし、積み重ねて保存・移動ができます。(アフリカンマザー組み立て作業写真

『組立板立体』と名付けられたこの手法は、等身大よりやや小さい作品から2〜3メートルに及ぶ大きな作品まで、多数の作品に応用されています。それぞれのパーツはランバーコアという合板を糸鋸で切り抜き、木製のクラフトキットの様に組み合わせて立体が形作られています。それぞれのパーツの輪郭が人体の稜線を表しているだけなのですが、各パーツが色を塗られ、組み合わせられる事で人体の存在感まで感じられます。平面的な形状の組み合わせで立体的な形状が形が作られる面白さも超次元アート的です。

実は片岡は83年ごろには『丸太脱出彫刻』という丸太から人体を彫り出す作品を多数制作していました。しかしこの制作作業にあまりに集中したため1年も肩が上がらなくなり、後年の組立板立体の様なより効率の良い制作方法を生み出す一因となりました。

片岡昌が利便性を考慮した制作方法によって効率よく効果的な表現を生み出している事は、劇を演じる上での実用性が求められる劇人形制作を出自とする作家ならではの特徴であると言えます。この事については片岡昌展カタログ掲載の熊谷薫の文章に詳しいので是非ご参照下さい。

紹介した作品は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。(もう会期も終了に近いですが、紹介し残した内容がありましたのでいくつか掲載したいと思います)

『埋もれし時』『ちまた』の2シリーズでは、『組立板立体』の技法も使いながら、板を重ねたり組み合わせて削る事で複雑な曲面を作り出しています。これらの両作品は、「超次元アートと『ひょうたん島』」終了後も沼津の「ストリート今昔」にて展示いたします。


『埋もれし時』展示風景

[片岡昌展]会期残り5日!と、今後の展示予定

片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』も残り1週間を切りました。最終日は10/5,来週の火曜日です。この土日は最後の週末なので、行こうと思って延ばし延ばしにしていた方は必ず来て下さい。これを逃すと次にいつ見れるかわからない作品が沢山あります。(関東方面からの日帰りガイド

10/7〜11/2 は同じく静岡県の「ぬましんストリートギャラリー」(沼津信用金庫本店1F,沼津駅近く)にて、個展「ストリート今昔」が開かれます。街路に面した約20mの展示スペースに、ストリート・街を行く人々を描いた「埋もれし時」「ちまた」の2シリーズを展示します。10/10には、同じ建物の4Fホールにて舞台版ひょっこりひょうたん島「泣いたトラヒゲの巻」の上演もあります。詳細は展示・公演予定のページをどうぞ。

10/11〜10/16 には銀座のギャラリースペースQにて個展「WAR x LOVE」が開かれます。あまり紹介される機会の無かった、風刺作品にスポットを当てた個展です。

12月?には新作の個展が予定されています。こちらもお楽しみに!

[片岡昌展]9月の三連休は、人形操作ワークショップ,ギャラリートーク,人形劇団ひとみ座公演

開催中の片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』、いよいよ残り1ヶ月を切りました。9月の3連休の19日[日曜]と20日[月曜祝日]は、それぞれ人形操作ワークショップとギャラリートークを実施します。会期中最後のイベントとなりますので、是非お越し下さい。(イベントスケジュール

9月19日は人形劇団ひとみ座スタッフによる、実際に人形操作を体験できるワークショップを行います。基本的な「手遣い人形」と、テレビでおなじみの「棒遣い人形」を体験いただけます。時刻は 11:15 からと、 13:15 からの2回となります。

9月20日は片岡昌アーカイブ・プロジェクトのキュレイターによるギャラリートークを行います。展示作品を見ながら、その見所、作家と作品に関するエピソード等をお楽しみいただけます。時刻は 11:15 からとなります。

また、9月20日には同じ伊東市の 伊東市観光会館ホール にて、人形劇団ひとみ座による『人形芝居 ゲゲゲの鬼太郎 決戦!竜宮島』公演が行われます(公演情報, 劇の詳細)。水木しげる氏の魅力的なキャラクター達を、片岡昌が劇人形として立体化。人形劇ならではのからくりや仕掛けを用いて、舞台をいっぱいに使った迫力ある劇に仕上げています。

19日は人形操作ワークショップに参加して、翌日は人形劇公演と2日に渡って伊東と人形劇をお楽しみいただいてもいいですし、9月20日のギャラリートークにご参加いただき、その後人形劇公演を観劇いただく事も可能です。(ギャラリートークは公演に間に合う時間に終了します)公演のチケットについては 伊東市振興公社 0557-37-7135 へお問い合わせ下さい。

[片岡昌展]『オリジナル版展示強化週間』終了、明日は水曜休館、明後日より通常展示です。

片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』、『ひょっこりひょうたん島 オリジナル版 展示強化週間』(写真)は本日8月31日で終了、明日9月1日は休館日で、2日から通常展示となります。
会場の池田20世紀美術館は、7,8月は休館日無しで開館しておりましたが、9月からは水曜日休館となります。ご注意下さい。展示もあと1ヶ月!今回見逃すとなかなか見る機会の無い作品も沢山ありますので、皆様どうぞお越し下さい。伊東は東京方面の方も日帰りで十分楽しめる立地です。意外と近い、伊東の片岡昌展【首都圏向け記事】 をご参考にどうぞ。

「ひょっこりひょうたん島 オリジナル版展示強化週間」と舞台版「ひょうたん島」

昨日お知らせした、『ひょっこりひょうたん島 オリジナル版 展示強化週間』始まりました。写真をアップします。入れ替え内容の詳細は、昨日の記事をご覧下さい。

この展示替えで入れ替わったリメイク版の人形は、福島での人形劇団ひとみ座公演「ひょっこりひょうたん島 泣いたトラヒゲの巻」で使用されます。この舞台版オリジナルストーリーの「ひょうたん島」、脚本はもちろん井上ひさし・山元譲久で、テレビオリジナル版の声優達の吹き込んだテープにあわせて上演されます。ひょうたん島ファンの方は是非どうぞ。詳細は 展示・公演予定のページ や、 主催:こむこむによる情報 をご覧下さい。

[片岡昌展]明日より『ひょっこりひょうたん島 オリジナル版 展示強化週間』です。

開催中の片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』、明日8月25日から8月31日まで『ひょっこりひょうたん島 オリジナル版 展示強化週間』展示替えを行います。


ドン・ガバチョ
左からオリジナル,リメイク

以下の展示がなくなります。(「ひょっこりひょうたん島 泣いたトラヒゲの巻」福島公演のため)

  • リメイク版 トラヒゲ,ガバチョ,サンデー,ダンディ,ムマモメム
  • リメイク版 ハカセ,チャッピ,ダンプ,テケ,プリン,キッド,ライオン
  • リメイク版 パトラ,ペラ,ルナ
  • リメイク版 ガラクータ,トーヘンボク,ドタバータ,ヤッホー

替わりに、以下のオリジナル版の人形をご覧頂けます。

  • ドン・ガバチョ,トラヒゲ (通常時も展示中)
  • ライオン
  • ガラクータ,トーヘンボク,ドタバータ,ヤッホー
  • パトラ,ペラ,ルナ (通常時も展示中)
  • しゅう長(ライオン王国シリーズ)
  • ピッツ長官(ブルドキアシリーズ)
  • ブル元帥(ブルドキアシリーズ)
  • アルセーヌ・クッペパン(魔女リカシリーズ)
  • マリー(通常時も展示中)
  • ボスケ王(アンコロピン王国シリーズ)
  • ジョウ(グッバイジョウシリーズ)
  • パット・ロール(グッバイジョウシリーズ)
  • シエラザード(アルカジル王国シリーズ)
  • アノネ(ウクレレマン・ダンシリーズ)
  • ドン・キホーテ(カンカン王国シリーズ)
  • マーガレット・バッツィドール(ガン・マンシリーズ)

オリジナル版はダメージの激しい人形もありますが、なかなか見る機会のない懐かしいキャラクター達をお楽しみ下さい。

まだお読みでない方は、解説記事 ひょっこりひょうたん島の劇人形(リメイク版,オリジナル版,パイロット版) 片岡昌展 展示紹介(1) もどうぞ。パイロット版の人形は常時展示しております。

意外と近い、伊東の片岡昌展【首都圏向け記事】

首都圏にお住まいの方に片岡昌展を紹介する機会が多いのですが、やはり「伊豆かー遠いね…」と言われてしまったり、こちらから「遠いのでお近くにお寄りの際は…」と遠慮しながら紹介してしまいがちになります。

ところが、伊東は伊豆半島の中でも最も東京に近く、東側で半島のつけねに近いエリアなので、実は時間的にも電車賃的にも意外なくらい近いのです。日帰りで十分行って(さらに伊東を観光して)帰って来れますので、今日はおすすめの電車乗り継ぎプランをご紹介します。(すみません、今回は首都圏にお住まいの方向けの記事になります)

「新宿から小田急線」コースと「東京から東海道線」コースの2つの路線で、それぞれ早起きコースとのんびりコースを紹介します。路線については、お住まいの地域からアクセスしやすい路線をお選び下さい。なお、時刻は土日の場合を示しています。

早起きコース のんびりコース
東京から東海道線
新宿から小田急線

東京から東海道線 早起きコース

7:24 東京駅発 JR東海道本線 普通 伊東行
 ↓
9:49 伊東駅着 (10:00発のバスをどうぞ)

(この便の主要駅への到着時間 品川7:33, 横浜7:51, 大船8:09, 小田原8:51)

(片道:2,210円)東京から東海道本線1本でいけます。朝ご飯とお茶を買って乗り込んでもいいですし、伊東駅が終点ですので、車内でぐっすりでもいいですね。→伊東から美術館まで

東京から東海道線 のんびりコース

10:23 東京駅発 JR東海道本線 普通 伊東行
 ↓
12:56 伊東駅着 (13:00発のバスをどうぞ)

(この便の主要駅への到着時間 品川10:31, 横浜10:48, 大船11:04, 小田原11:52)

(片道:2,210円)東京から東海道本線1本でいけます。お昼を車内で弁当にするか、伊東で降りてから食べるか迷って下さい。→伊東から美術館まで

新宿から小田急線 早起きコース

7:11 新宿駅発 小田急小田原線急行 小田原行
 ↓
8:45 小田原着
8:52 小田原発 JR東海道本線 普通 伊東行
 ↓
9:49 伊東駅着 (10:00発のバスをどうぞ)

(この便の主要駅への到着時間 下北沢7:18, 登戸7:30, 新百合ケ丘7:37, 相模大野7:48, 海老名8:00)

(片道:1,500円)JRよりも大分安く済みます。小田急線は乗車時間が長いわりに車内にトイレがないのでご注意。小田原の乗換は近くてわかりやすいですが、7分しかないので油断せずどうぞ。→伊東から美術館まで

新宿から小田急線 のんびりコース

10:11 新宿駅発 小田急小田原線急行 小田原行
 ↓
11:48 小田原着
11:56 小田原発 JR東海道本線 普通 伊東行
 ↓
12:56 伊東駅着 (13:00発のバスをどうぞ)

(この便の主要駅への到着時間 下北沢10:19, 登戸10:31, 新百合ケ丘10:41, 相模大野10:52, 海老名11:01)

(片道:1,500円)JRよりも大分安く済みます。小田急線は乗車時間が長いわりに車内にトイレがないのでご注意。小田原の乗換は近くてわかりやすいですが、8分しかないので油断せずどうぞ。→伊東から美術館まで

伊東駅から池田20世紀美術館まで

伊東駅から美術館までは、東海バス6番乗り場より「一碧湖経由 シャボテン公園行き」(城星経由または川奈口経由)に乗り約30分、「池田美術館」で下車して目の前です。9時〜16時代の間は、毎時0分と30分に出ています。運賃は整理券制で、片道600円です。(平日の時刻表,土日祝の時刻表)

※4番乗り場の柱に「池田20世紀美術館」の広告が出ていますが、そこは正しいバス乗り場ではありません。2つ奥の6番乗り場をご利用下さい。

途中、山道の中に開ける「一碧湖」の景色もお楽しみに。また、タクシーをお使いの場合、小型タクシーで約3,000円、中型タクシーで約3,700円です。

美術館の後は…

展示を楽しんで、売店にも寄ったら、せっかくなので伊東を観光して帰りましょう。

  • 美術館向かいのブルーギル、見た目は喫茶店なのに、意外に本格派のイタリアンにびっくり
  • 幽玄な一碧湖をボートで一周
  • 動物とサボテンに会いにシャボテン公園
  • 伊豆高原ビール本店で食べきれないくらいの山盛り海鮮丼に挑戦(バスの乗り換え難易度が高いので、バスの運転手さんに尋ねるか、タクシーで行きましょう)

さらに、伊東駅まで戻って…

シュルレアリズム的魅力?イメージの借用による人形美術 片岡昌展 展示紹介(5)

片岡昌は劇人形を制作する際に、物語とは関わりのないものからデザインの発想を得る事が多くあります。異質なものを自在に組み合わせる事で新しい表現を生み出すアイデアは、シュールレアリズムの様でもあります。


天守物語(1998)

天守物語(1998)

泉鏡花の描いた幻想的な世界を、「海外から見た日本の姿」ジャポニズムのイメージで描き出しています。カラフルな着物が艶やかで絢爛な世界を生み出しています。


マクベス(1961)

マクベス(1961)

シェイクスピアの「マクベス」を、アフリカのプリミティブアート・仮面などに着想を得たデザインの人形達に演じさせています。人の形に限定されない面白さと、人形のモノとしての存在感が強調されています。


マクベス(2009)

マクベス(2009)

2009年版の「マクベス」は再演やリメイクではなく、全く新しい演出が試みられました。登場人物達は虫の姿をしており、魔女が人間の運命を弄ぶ様子を、虫同士を殺し合わせて遊ぶという表現に重ね合わせています。

1961年の「マクベス」は演出の清水浩二氏の発案がきっかけで、従来の人形劇像を裏切るミステリアスでスタイリッシュな人形が作成されました。人形劇ならではの象徴的な演出が多数盛り込まれた、実験的な舞台であったそうです。一方2009年の「マクベス」では、登場人物を虫として表現するアイデアは片岡の発想で、そこから演出の方向性が決まっていったそうです。演出と人形美術が互いに影響を与え合う関係にあり、人形劇においては特に両者の絡み合いは深いものだと言えます。


紹介した劇人形は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。

他に、同展の「人形倉庫」コーナーにある人形から同様の試みが行われている人形を紹介すると…「かもめ(1975)」はチェホフの戯曲を、風刺漫画(ポンチ絵と呼ばれた頃の海外の風刺漫画)をイメージしたシニカルなデザインの人形で表現しています。また、作品の設定に沿いながらイメージを借用してきた例として、日本神話を元にした「おおあなむちの冒険(1969)」では土偶風のデザインを、シェイクスピア劇「夏の夜の夢(1993)」ではギリシャ彫刻風のデザインを採用しています。

参考リンク