アフリカンマザー(2002)


踊る(1994)


丸太脱出彫刻(1983-1986?)

片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 ポスター・チラシにも登場する『アフリカンマザー』は高さ3mにも及ぶ大きな作品ですが、収納時・運搬時には板状の各パーツをバラバラにし、積み重ねて保存・移動ができます。(アフリカンマザー組み立て作業写真

『組立板立体』と名付けられたこの手法は、等身大よりやや小さい作品から2〜3メートルに及ぶ大きな作品まで、多数の作品に応用されています。それぞれのパーツはランバーコアという合板を糸鋸で切り抜き、木製のクラフトキットの様に組み合わせて立体が形作られています。それぞれのパーツの輪郭が人体の稜線を表しているだけなのですが、各パーツが色を塗られ、組み合わせられる事で人体の存在感まで感じられます。平面的な形状の組み合わせで立体的な形状が形が作られる面白さも超次元アート的です。

実は片岡は83年ごろには『丸太脱出彫刻』という丸太から人体を彫り出す作品を多数制作していました。しかしこの制作作業にあまりに集中したため1年も肩が上がらなくなり、後年の組立板立体の様なより効率の良い制作方法を生み出す一因となりました。

片岡昌が利便性を考慮した制作方法によって効率よく効果的な表現を生み出している事は、劇を演じる上での実用性が求められる劇人形制作を出自とする作家ならではの特徴であると言えます。この事については片岡昌展カタログ掲載の熊谷薫の文章に詳しいので是非ご参照下さい。

紹介した作品は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。(もう会期も終了に近いですが、紹介し残した内容がありましたのでいくつか掲載したいと思います)

『埋もれし時』『ちまた』の2シリーズでは、『組立板立体』の技法も使いながら、板を重ねたり組み合わせて削る事で複雑な曲面を作り出しています。これらの両作品は、「超次元アートと『ひょうたん島』」終了後も沼津の「ストリート今昔」にて展示いたします。


『埋もれし時』展示風景