片岡昌は劇人形を制作する際に、物語とは関わりのないものからデザインの発想を得る事が多くあります。異質なものを自在に組み合わせる事で新しい表現を生み出すアイデアは、シュールレアリズムの様でもあります。


天守物語(1998)

天守物語(1998)

泉鏡花の描いた幻想的な世界を、「海外から見た日本の姿」ジャポニズムのイメージで描き出しています。カラフルな着物が艶やかで絢爛な世界を生み出しています。


マクベス(1961)

マクベス(1961)

シェイクスピアの「マクベス」を、アフリカのプリミティブアート・仮面などに着想を得たデザインの人形達に演じさせています。人の形に限定されない面白さと、人形のモノとしての存在感が強調されています。


マクベス(2009)

マクベス(2009)

2009年版の「マクベス」は再演やリメイクではなく、全く新しい演出が試みられました。登場人物達は虫の姿をしており、魔女が人間の運命を弄ぶ様子を、虫同士を殺し合わせて遊ぶという表現に重ね合わせています。

1961年の「マクベス」は演出の清水浩二氏の発案がきっかけで、従来の人形劇像を裏切るミステリアスでスタイリッシュな人形が作成されました。人形劇ならではの象徴的な演出が多数盛り込まれた、実験的な舞台であったそうです。一方2009年の「マクベス」では、登場人物を虫として表現するアイデアは片岡の発想で、そこから演出の方向性が決まっていったそうです。演出と人形美術が互いに影響を与え合う関係にあり、人形劇においては特に両者の絡み合いは深いものだと言えます。


紹介した劇人形は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。

他に、同展の「人形倉庫」コーナーにある人形から同様の試みが行われている人形を紹介すると…「かもめ(1975)」はチェホフの戯曲を、風刺漫画(ポンチ絵と呼ばれた頃の海外の風刺漫画)をイメージしたシニカルなデザインの人形で表現しています。また、作品の設定に沿いながらイメージを借用してきた例として、日本神話を元にした「おおあなむちの冒険(1969)」では土偶風のデザインを、シェイクスピア劇「夏の夜の夢(1993)」ではギリシャ彫刻風のデザインを採用しています。

参考リンク


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