片岡昌アーカイブ・プロジェクト > 立体・平面作品

カテゴリ: 立体・平面作品

予告:日本橋アークネス・アート・ギャラリーにて片岡昌展(5/9〜5/30)

※開催予定を更新しました。

先日、片岡昌の次回展覧会の打ち合わせのため、日本橋のアークネス・アート・ギャラリーを訪問しました。


黒壁のフロア(改装中)


白壁のフロア
(アークネス製品のバッグ展示中)

アークネス・アート・ギャラリーには2つのフロアがあり、それぞれ黒壁・白壁と対照的な内装になっています。今回は、ここに LIFE / DESIGN という2つのテーマでの展示を行います。片岡昌の作品に宿る生命力と、デザインの面白さを堪能いただける展覧会になります。昨年の展覧会でも未展示の旧作もたくさんあり、最新作(仮面2点)も展示予定です。是非お越し下さい。展示内容の詳細など、このブログで報告していきます。

■アークネス・アート・ギャラリー グランドオープン記念展
片岡昌 LIFE / DESIGN
2011/5/9(月)-5/30(月)
12:00-20:00 (土日は11:00-18:00, 会期中休館日無し)

アークネス・アート・ギャラリーを運営しているアークネス・ジャパン株式会社はバッグを制作しています。こちらは、白壁のギャラリーフロアでショーケースとして展示中のバッグの中から、お気に入りのバッグを見つけて肩にかけている片岡昌の写真です。

なぜバッグを肩にかけているのかは…次回の更新でお知らせします。

片岡昌 新作個展『影 陰 翳』@銀座ギャラリーGK 12/6〜12/11開催

12/6より、銀座のギャラリーGKにて、片岡昌の個展『影 陰 翳』を開催します。

今夏の企画展後、初めての新作個展になります。まだまだ広がる、新たな片岡昌の世界にご注目下さい。

片岡昌『影 陰 翳』
2010年12月6日(月)〜11日(土) 12:00〜19:00 (最終日PM5:00まで)
ギャラリーGK (地下鉄銀座駅B5出口,地図,TEL 03-3571-0105)

沼津『ストリート今昔』展示風景

ぬましんストリートギャラリー での個展『ストリート今昔』、展示開始当日夜の展示風景です。会場等の詳細は 展示・公演予定 をご覧下さい。

街路に面した展示場所のため、美術館や画廊での展示と異なり偶然通りがかった多くの方に見ていただく事ができます。なかなかインパクトのある展示になっている様で、予想以上に多くの方に(本当に、通りがかった殆ど全ての方に)足を止めて見て下さる事ができ作家も喜んでいました。お近くの方は是非見にいらして下さい。

沼津は東海道線の駅ですので、東京方面からは新幹線で1〜1.5時間、鈍行でも2〜2.5時間で到着します。お近くにお寄りの際は是非お寄り下さい。

本日10月10日は同じ建物の4Fにて人形劇団ひとみ座「ひょっこりひょうたん島 泣いたトラヒゲの巻」の公演があります。当日券でいらっしゃる方はかならず主催へご確認を。(詳細)

沼津で個展『ストリート今昔』と公演『ひょっこりひょうたん島 泣いたトラヒゲの巻』

10月7日からは静岡県沼津の ぬましんストリートギャラリー にて個展『ストリート今昔』がスタートします。沼津信用金庫本店のショーウインドウを利用した、屋外の歩道から見るギャラリーでの展示です。この場所に合わせ、戦時中と現代、2つの時代のストリートをテーマとしたインスタレーション作品を展示します。

また10月10日には同じ建物の4F、ぬましんホールにて人形劇団ひとみ座「ひょっこりひょうたん島 泣いたトラヒゲの巻」の公演があります。こちらもお見逃し無く!

どちらも詳細は 展示・公演予定のページ をご覧下さい。

組立板立体 超次元の造形作品 III 片岡昌展 展示紹介(6)


アフリカンマザー(2002)


踊る(1994)


丸太脱出彫刻(1983-1986?)

片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 ポスター・チラシにも登場する『アフリカンマザー』は高さ3mにも及ぶ大きな作品ですが、収納時・運搬時には板状の各パーツをバラバラにし、積み重ねて保存・移動ができます。(アフリカンマザー組み立て作業写真

『組立板立体』と名付けられたこの手法は、等身大よりやや小さい作品から2〜3メートルに及ぶ大きな作品まで、多数の作品に応用されています。それぞれのパーツはランバーコアという合板を糸鋸で切り抜き、木製のクラフトキットの様に組み合わせて立体が形作られています。それぞれのパーツの輪郭が人体の稜線を表しているだけなのですが、各パーツが色を塗られ、組み合わせられる事で人体の存在感まで感じられます。平面的な形状の組み合わせで立体的な形状が形が作られる面白さも超次元アート的です。

実は片岡は83年ごろには『丸太脱出彫刻』という丸太から人体を彫り出す作品を多数制作していました。しかしこの制作作業にあまりに集中したため1年も肩が上がらなくなり、後年の組立板立体の様なより効率の良い制作方法を生み出す一因となりました。

片岡昌が利便性を考慮した制作方法によって効率よく効果的な表現を生み出している事は、劇を演じる上での実用性が求められる劇人形制作を出自とする作家ならではの特徴であると言えます。この事については片岡昌展カタログ掲載の熊谷薫の文章に詳しいので是非ご参照下さい。

紹介した作品は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。(もう会期も終了に近いですが、紹介し残した内容がありましたのでいくつか掲載したいと思います)

『埋もれし時』『ちまた』の2シリーズでは、『組立板立体』の技法も使いながら、板を重ねたり組み合わせて削る事で複雑な曲面を作り出しています。これらの両作品は、「超次元アートと『ひょうたん島』」終了後も沼津の「ストリート今昔」にて展示いたします。


『埋もれし時』展示風景

似てる!STRIPED STREETシリーズ作品とキシリッシュのCM

片岡昌展をご覧になった方でお気づきになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

現在放送中の木村カエラさん出演の明治製菓 キシリッシュのCMが片岡昌の作品 STRIPED STREET の発想とそっくりですね!STRIPED STREETは、白黒のストライプの背景の前で、同様に白黒ストライプの人物がパフォーマンスをするというイベントを開催した後に描かれた作品です。そして、まさに、このCM同様に、人物が背景に一瞬とけ込むような視覚効果が得られたとのことです。

偶然の一致でしょうが、こうしたトリックアート的な視覚効果のおもしろさを片岡が先駆的に取り入れていたことが、ここからも伺えるのではないでしょうか?

明治製菓 キシリッシュCM でCMをご覧になれます。是非見比べてみてください!


明治製菓 キシリッシュCM[2010] より

STRIPED STREET(群像)[1982]

STRIPED STREET(立像)[1982]

クロスオーバー人形/STRIPED STREET 超次元の造形作品 II 片岡昌展 展示紹介(4)


STRIPED STREET (群像)(1982)


STRIPED STREET (立像)(1982)


赤レンガ倉庫(1979)

STRIPED STREET と名付けられたシリーズ作品。 (群像) は白黒のストライプを、そこに人体があるかの様に「曲げて」書き込む事で、立体的な人体の存在を感じさせる平面作品です。一方 (立像) の方は半立体の作品なのですが、立体の人体のストライプが背景のストライプへ溶け込み、遠くから見ると平面の様に見える作品です。

赤レンガ倉庫 は STRIPED STREET に先立って作られたシリーズの作品。こちらは良く知られた横浜の 赤レンガ倉庫 を背景に、まるで「透明な巨人」が立っているかの様に、風景が屈折した様子が描かれています。

この様な表現は、光の屈折を計算して絵を描画する レイトレーシング を活用した現在の 3DCG 技術を使えば、簡単に再現できます。しかし、当時片岡昌はこれらの絵を光学的な実験等を経ず、赤レンガ倉庫の参考写真等だけを元に頭の中だけで光の屈折のシミュレートを行い描いていたそうです。

この事から、片岡は平面作品においても、立体造形で培われた立体物の把握・構成力を強く生かして制作していたと考えられます。一般に平面作品と立体作品は別ジャンルの美術表現と捉えられますが、劇人形や立体作品を見れば一目瞭然の片岡の立体造形力、「近未来計画」シリーズやその他の風刺画といった作品において発揮されている微細なリアリズムと極端なデフォルメを自在にミックスする平面での表現力、これらは片岡の中では1つの能力として鍛えられ、発揮されてきたのかもしれません。実際に、過去の作品シリーズ “クロスオーバー人形展”, “STRIPED STREET”, “近未来計画” は1つの個展で展示されるシリーズ作品の中に、平面と立体の作品が入り交じった物でした。片岡昌の表現は、平面と立体、2次元と3次元という垣根など元々無いかの様に軽々と行き来してみせています。


紹介した作品は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。立体と平面を行き来する、自由な発想から生まれた作品をお楽しみ下さい。

リアル・トポロジー 超次元の造形作品I 片岡昌展 展示紹介(3)


裏返るビーナス(1972)


アラ、見てたのね(1972)

写真の「裏返るビーナス」は、人体の上半分と下半分がお腹の所で裏返っている、トリック・アート的な不思議さを感じさせる作品です。上半身と下半身を別々にみれば、一見普通の人体彫刻の様にも見えますが、「裏返っている」お腹の部分を見ると、この立体作品がゴムの様にぐにゃぐにゃと形を変え続ける曲面でできていて、現在はたまたま人体彫刻の様な形状をしているだけ…とも感じられます。「リアル・トポロジー」と呼ばれるこれら立体作品のシリーズは、数学のトポロジーで扱われる「形を自由に変えられる曲面」の様に感じられる非現実的な質感と、西洋彫刻の様に存在感のある写実的な質感を同時に持っています。

同シリーズの「アラ、見てたのね」もやはり、同じ様に中身のない、曲面だけでできた人体をイメージさせます。裸の体をさらに「脱いだ」らそこは何も無い空間だった、というのは見る人をドキッとさせるしかけでもあり、このまま全部脱いだらこの女性はどこへ消えてしまうのか?とSF的な想像力が刺激される作品でもあります。

この他に「ある曲面」では男女のトルソが1つの曲面の表と裏を共有し、また別シリーズの作品「勤め上げし父の肖像」でも形を無機物へ変形させた人体が表現されています。これらの奇妙な変形を伴った人物像は確実に「実在しえない」ものですが、人体の細部の表現が極めてリアルに作られているため、全体として実在感・存在感のあるものとして迫ってくる表現になっています。虚と実という相反する感覚を同時に刺激される所が、これらの作品の魅力の1つといえるでしょう。こういったリアルさを追求した表現を、片岡は「部分リアリズム」と呼んでいます。[片岡昌展カタログ90P]

片岡によれば、「リアル・トポロジー」の「トポロジー」という単語は、これらの作品を見た坂根厳夫氏の発言から借りてきたそうです。坂根厳夫氏は「遊びの博物誌」[1977]の中で「裏返るビーナス」「アラ、見てたのね」など片岡の作品数点を紹介し、こういった立体表現や、古来からある妖怪などのイメージ等が、人体イメージに「数学的操作」を加える事で生まれたと考える事もできるのではないかと述べています。


紹介した作品は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。写真では伝えきれない、立体造形の面白さをご確認下さい。

坂根厳夫氏による片岡昌作品の紹介がある書籍を 片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 ストア にまとめてあります。特に 遊びの博物誌 1, 遊びの博物誌 2 は私も繰り返し読んでいる魅力溢れる本です。版元品切れのため古本でしか手に入らないのですが、値段もお手頃ですので是非読んでみて下さい。

『アフリカンマザー』の組み立て作業

4月11日に再度アトリエを訪問し、片岡の組み立て立体作品『アフリカンマザー』の組み立て作業の予行練習と撮影を行いました。3m近いかなり大きな作品なので、組み立ては一苦労です。今回は三人で作業しましたが、作品制作時には一人で全て行っていたというのですから驚きです。それでは、効率の良い方法を思い出しながら作業開始です!

組み立てが完成した後に、電源を入れるとマザーのお腹の部分にいるベビーがくるくると回転します。動きにも問題がなかったので一安心。多少塗装が剥げている部分もあったので、修復し展示することになりました。次第に組み上げられていく様はダイナミックで面白いものですね。