片岡昌アーカイブ・プロジェクト > 片岡昌 展示情報

カテゴリ: 片岡昌 展示情報

意外と近い、伊東の片岡昌展【首都圏向け記事】

首都圏にお住まいの方に片岡昌展を紹介する機会が多いのですが、やはり「伊豆かー遠いね…」と言われてしまったり、こちらから「遠いのでお近くにお寄りの際は…」と遠慮しながら紹介してしまいがちになります。

ところが、伊東は伊豆半島の中でも最も東京に近く、東側で半島のつけねに近いエリアなので、実は時間的にも電車賃的にも意外なくらい近いのです。日帰りで十分行って(さらに伊東を観光して)帰って来れますので、今日はおすすめの電車乗り継ぎプランをご紹介します。(すみません、今回は首都圏にお住まいの方向けの記事になります)

「新宿から小田急線」コースと「東京から東海道線」コースの2つの路線で、それぞれ早起きコースとのんびりコースを紹介します。路線については、お住まいの地域からアクセスしやすい路線をお選び下さい。なお、時刻は土日の場合を示しています。

早起きコース のんびりコース
東京から東海道線
新宿から小田急線

東京から東海道線 早起きコース

7:24 東京駅発 JR東海道本線 普通 伊東行
 ↓
9:49 伊東駅着 (10:00発のバスをどうぞ)

(この便の主要駅への到着時間 品川7:33, 横浜7:51, 大船8:09, 小田原8:51)

(片道:2,210円)東京から東海道本線1本でいけます。朝ご飯とお茶を買って乗り込んでもいいですし、伊東駅が終点ですので、車内でぐっすりでもいいですね。→伊東から美術館まで

東京から東海道線 のんびりコース

10:23 東京駅発 JR東海道本線 普通 伊東行
 ↓
12:56 伊東駅着 (13:00発のバスをどうぞ)

(この便の主要駅への到着時間 品川10:31, 横浜10:48, 大船11:04, 小田原11:52)

(片道:2,210円)東京から東海道本線1本でいけます。お昼を車内で弁当にするか、伊東で降りてから食べるか迷って下さい。→伊東から美術館まで

新宿から小田急線 早起きコース

7:11 新宿駅発 小田急小田原線急行 小田原行
 ↓
8:45 小田原着
8:52 小田原発 JR東海道本線 普通 伊東行
 ↓
9:49 伊東駅着 (10:00発のバスをどうぞ)

(この便の主要駅への到着時間 下北沢7:18, 登戸7:30, 新百合ケ丘7:37, 相模大野7:48, 海老名8:00)

(片道:1,500円)JRよりも大分安く済みます。小田急線は乗車時間が長いわりに車内にトイレがないのでご注意。小田原の乗換は近くてわかりやすいですが、7分しかないので油断せずどうぞ。→伊東から美術館まで

新宿から小田急線 のんびりコース

10:11 新宿駅発 小田急小田原線急行 小田原行
 ↓
11:48 小田原着
11:56 小田原発 JR東海道本線 普通 伊東行
 ↓
12:56 伊東駅着 (13:00発のバスをどうぞ)

(この便の主要駅への到着時間 下北沢10:19, 登戸10:31, 新百合ケ丘10:41, 相模大野10:52, 海老名11:01)

(片道:1,500円)JRよりも大分安く済みます。小田急線は乗車時間が長いわりに車内にトイレがないのでご注意。小田原の乗換は近くてわかりやすいですが、8分しかないので油断せずどうぞ。→伊東から美術館まで

伊東駅から池田20世紀美術館まで

伊東駅から美術館までは、東海バス6番乗り場より「一碧湖経由 シャボテン公園行き」(城星経由または川奈口経由)に乗り約30分、「池田美術館」で下車して目の前です。9時〜16時代の間は、毎時0分と30分に出ています。運賃は整理券制で、片道600円です。(平日の時刻表,土日祝の時刻表)

※4番乗り場の柱に「池田20世紀美術館」の広告が出ていますが、そこは正しいバス乗り場ではありません。2つ奥の6番乗り場をご利用下さい。

途中、山道の中に開ける「一碧湖」の景色もお楽しみに。また、タクシーをお使いの場合、小型タクシーで約3,000円、中型タクシーで約3,700円です。

美術館の後は…

展示を楽しんで、売店にも寄ったら、せっかくなので伊東を観光して帰りましょう。

  • 美術館向かいのブルーギル、見た目は喫茶店なのに、意外に本格派のイタリアンにびっくり
  • 幽玄な一碧湖をボートで一周
  • 動物とサボテンに会いにシャボテン公園
  • 伊豆高原ビール本店で食べきれないくらいの山盛り海鮮丼に挑戦(バスの乗り換え難易度が高いので、バスの運転手さんに尋ねるか、タクシーで行きましょう)

さらに、伊東駅まで戻って…

シュルレアリズム的魅力?イメージの借用による人形美術 片岡昌展 展示紹介(5)

片岡昌は劇人形を制作する際に、物語とは関わりのないものからデザインの発想を得る事が多くあります。異質なものを自在に組み合わせる事で新しい表現を生み出すアイデアは、シュールレアリズムの様でもあります。


天守物語(1998)

天守物語(1998)

泉鏡花の描いた幻想的な世界を、「海外から見た日本の姿」ジャポニズムのイメージで描き出しています。カラフルな着物が艶やかで絢爛な世界を生み出しています。


マクベス(1961)

マクベス(1961)

シェイクスピアの「マクベス」を、アフリカのプリミティブアート・仮面などに着想を得たデザインの人形達に演じさせています。人の形に限定されない面白さと、人形のモノとしての存在感が強調されています。


マクベス(2009)

マクベス(2009)

2009年版の「マクベス」は再演やリメイクではなく、全く新しい演出が試みられました。登場人物達は虫の姿をしており、魔女が人間の運命を弄ぶ様子を、虫同士を殺し合わせて遊ぶという表現に重ね合わせています。

1961年の「マクベス」は演出の清水浩二氏の発案がきっかけで、従来の人形劇像を裏切るミステリアスでスタイリッシュな人形が作成されました。人形劇ならではの象徴的な演出が多数盛り込まれた、実験的な舞台であったそうです。一方2009年の「マクベス」では、登場人物を虫として表現するアイデアは片岡の発想で、そこから演出の方向性が決まっていったそうです。演出と人形美術が互いに影響を与え合う関係にあり、人形劇においては特に両者の絡み合いは深いものだと言えます。


紹介した劇人形は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。

他に、同展の「人形倉庫」コーナーにある人形から同様の試みが行われている人形を紹介すると…「かもめ(1975)」はチェホフの戯曲を、風刺漫画(ポンチ絵と呼ばれた頃の海外の風刺漫画)をイメージしたシニカルなデザインの人形で表現しています。また、作品の設定に沿いながらイメージを借用してきた例として、日本神話を元にした「おおあなむちの冒険(1969)」では土偶風のデザインを、シェイクスピア劇「夏の夜の夢(1993)」ではギリシャ彫刻風のデザインを採用しています。

参考リンク

片岡昌展 デジタルフォトフレームを使った舞台写真展示

池田20世紀美術館で開催中の「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」では、片岡昌の業績をできる限りお伝えするため、美術館の展示としてはかなり多くの作品を展示しています。

劇人形作品の展示については、人形だけでなく、どの様に使われたかがわかる舞台写真もお見せしたいと考えていましたが、展示の量やバランスを考えると、舞台写真を沢山展示することはかなわない状態でした。

そこで、今回トランセンド・ジャパン社のご協力をいただき、デジタルフォトフレームを使った写真の展示を試みています。展示としては多少小さめのサイズになりますが、省スペースで沢山の写真をご覧いただけるのはデジタルフォトフレームならではです。

デジタルフォトフレームは自分で写真を楽しむため、またはパソコンを使い慣れていない両親へ写真をプレゼントするため、等の使い方が提案されている製品ですが、安価で省スペースという特性を生かし美術館や資料館での情報呈示や、お店のPOP代わりとしても活用できるのではないかと思います。会場では使用していない機能ですがBGMの再生や動画の再生など「遊べる」機能もついています。何かユニークな使い方をしている例があったら教えていただきたいとも思います。

関連商品ストアにも デジタルフォトフレーム カテゴリを設けました。会場で使用している製品を紹介しています。製品の詳細は トランセンド・ジャパンの製品ページ をご覧下さい。

クロスオーバー人形/STRIPED STREET 超次元の造形作品 II 片岡昌展 展示紹介(4)


STRIPED STREET (群像)(1982)


STRIPED STREET (立像)(1982)


赤レンガ倉庫(1979)

STRIPED STREET と名付けられたシリーズ作品。 (群像) は白黒のストライプを、そこに人体があるかの様に「曲げて」書き込む事で、立体的な人体の存在を感じさせる平面作品です。一方 (立像) の方は半立体の作品なのですが、立体の人体のストライプが背景のストライプへ溶け込み、遠くから見ると平面の様に見える作品です。

赤レンガ倉庫 は STRIPED STREET に先立って作られたシリーズの作品。こちらは良く知られた横浜の 赤レンガ倉庫 を背景に、まるで「透明な巨人」が立っているかの様に、風景が屈折した様子が描かれています。

この様な表現は、光の屈折を計算して絵を描画する レイトレーシング を活用した現在の 3DCG 技術を使えば、簡単に再現できます。しかし、当時片岡昌はこれらの絵を光学的な実験等を経ず、赤レンガ倉庫の参考写真等だけを元に頭の中だけで光の屈折のシミュレートを行い描いていたそうです。

この事から、片岡は平面作品においても、立体造形で培われた立体物の把握・構成力を強く生かして制作していたと考えられます。一般に平面作品と立体作品は別ジャンルの美術表現と捉えられますが、劇人形や立体作品を見れば一目瞭然の片岡の立体造形力、「近未来計画」シリーズやその他の風刺画といった作品において発揮されている微細なリアリズムと極端なデフォルメを自在にミックスする平面での表現力、これらは片岡の中では1つの能力として鍛えられ、発揮されてきたのかもしれません。実際に、過去の作品シリーズ “クロスオーバー人形展”, “STRIPED STREET”, “近未来計画” は1つの個展で展示されるシリーズ作品の中に、平面と立体の作品が入り交じった物でした。片岡昌の表現は、平面と立体、2次元と3次元という垣根など元々無いかの様に軽々と行き来してみせています。


紹介した作品は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。立体と平面を行き来する、自由な発想から生まれた作品をお楽しみ下さい。

片岡昌展の関連商品コーナー

片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 開催中の、池田20世紀美術館内のショップにて、関連商品コーナーを設けて頂いています。品揃えも7月より、少しづつですが増やしています。

特に、書籍は一般の書店ではあまり見かけない本ばかりで、普段は立ち読みして中身を確認する事ができないと思います。会場にお越しの際は是非書籍を手に取ってみて下さい。

また、Web上にも関連商品ショップ 片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 ストア(Amazon インスタントストア) を設けています。こちらは会場ショップには置けなかったDVDや古本も紹介しております。

さて、当プロジェクトスタッフ Haruka のおすすめ商品は… 全体を表示

リアル・トポロジー 超次元の造形作品I 片岡昌展 展示紹介(3)


裏返るビーナス(1972)


アラ、見てたのね(1972)

写真の「裏返るビーナス」は、人体の上半分と下半分がお腹の所で裏返っている、トリック・アート的な不思議さを感じさせる作品です。上半身と下半身を別々にみれば、一見普通の人体彫刻の様にも見えますが、「裏返っている」お腹の部分を見ると、この立体作品がゴムの様にぐにゃぐにゃと形を変え続ける曲面でできていて、現在はたまたま人体彫刻の様な形状をしているだけ…とも感じられます。「リアル・トポロジー」と呼ばれるこれら立体作品のシリーズは、数学のトポロジーで扱われる「形を自由に変えられる曲面」の様に感じられる非現実的な質感と、西洋彫刻の様に存在感のある写実的な質感を同時に持っています。

同シリーズの「アラ、見てたのね」もやはり、同じ様に中身のない、曲面だけでできた人体をイメージさせます。裸の体をさらに「脱いだ」らそこは何も無い空間だった、というのは見る人をドキッとさせるしかけでもあり、このまま全部脱いだらこの女性はどこへ消えてしまうのか?とSF的な想像力が刺激される作品でもあります。

この他に「ある曲面」では男女のトルソが1つの曲面の表と裏を共有し、また別シリーズの作品「勤め上げし父の肖像」でも形を無機物へ変形させた人体が表現されています。これらの奇妙な変形を伴った人物像は確実に「実在しえない」ものですが、人体の細部の表現が極めてリアルに作られているため、全体として実在感・存在感のあるものとして迫ってくる表現になっています。虚と実という相反する感覚を同時に刺激される所が、これらの作品の魅力の1つといえるでしょう。こういったリアルさを追求した表現を、片岡は「部分リアリズム」と呼んでいます。[片岡昌展カタログ90P]

片岡によれば、「リアル・トポロジー」の「トポロジー」という単語は、これらの作品を見た坂根厳夫氏の発言から借りてきたそうです。坂根厳夫氏は「遊びの博物誌」[1977]の中で「裏返るビーナス」「アラ、見てたのね」など片岡の作品数点を紹介し、こういった立体表現や、古来からある妖怪などのイメージ等が、人体イメージに「数学的操作」を加える事で生まれたと考える事もできるのではないかと述べています。


紹介した作品は、10月5日まで「片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』」にて展示しています。写真では伝えきれない、立体造形の面白さをご確認下さい。

坂根厳夫氏による片岡昌作品の紹介がある書籍を 片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 ストア にまとめてあります。特に 遊びの博物誌 1, 遊びの博物誌 2 は私も繰り返し読んでいる魅力溢れる本です。版元品切れのため古本でしか手に入らないのですが、値段もお手頃ですので是非読んでみて下さい。

本日8日は人形操作ワークショップとギャラリートークがあります。

本日、8月8日は、人形操作ワークショップとギャラリートークがあります。開始時間は、ワークショップが 11:00〜 と 13:00〜, ギャラリートークが 12:00〜 と 14:00〜 となります。(イベントスケジュール)どのイベントも、開始時間の30分前に伊東駅を出る予定のバスに乗っていただければ(ちょっとギリギリですが)間に合います。

前回の人形操作ワークショップの写真をご紹介します。

人形劇団ひとみ座のスタッフが、手遣い人形、棒遣い人形の仕組みと使い方を解説し、皆様に実際に持って操作していただきます。棒遣い人形のカラクリの面白さと、実演としてお見せする寸劇もご注目下さい。

ギャラリートークでは、片岡昌アーカイブ・プロジェクトのキュレイターと一緒に、見所の解説を聴いたり、ご質問をしていただきながら作品をお楽しみいただけます。

いずはぴ通信に片岡昌展の記事が載りました。

伊豆情報サイト イズハピ! 内、「いずはぴ通信」にて、片岡昌展をとりあげていただきました。企画展オープン初日にお越し下さり、熱心に作家取材をして頂きました。展覧会の内容を端的に楽しくご紹介頂き、素晴らしい記事です。是非ご一読下さい。

関連リンク:伊豆情報サイト イズハピ!

片岡昌展『ひょっこりひょうたん島』の展示替え一部中止です。

以前お知らせした、 片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 での『ひょっこりひょうたん島』の人形展示替えですが、 7月23日-7月24日, 8月2日-8月8日 の展示替えが、都合によりなくなりました。8月24日まで、通常展示となります。

この間、通常展示にはないオリジナルの人形の入れ替え展示(ガラクータ,アルセーヌ・クッペパン,ブル元帥,しゅう長,シエラザード)を予定していました。これらをご覧になる予定を考えていた方々には、大変申し訳なく思います。

これら5つのオリジナル版人形も含め、 8月25日-8月31日『オリジナル版 展示強化週間』 ではオリジナル版の人形を一挙に展示しますので、こちらでご覧頂きたいと思います。

片岡昌展 会場での写真撮影OKです(フラッシュはNG)

タイトルの通りです。

片岡昌展 超次元アートと『ひょうたん島』 開催中の池田20世紀美術館では、館内で写真を撮影していただけます。
ただし、フラッシュを使用しての撮影はご遠慮下さい。作品保護のため、ご協力お願いします。

いい写真が撮れましたら、ブログ等でご紹介下さい!これまでに、以下のブログでご紹介頂きました。

※検索して見つかったブログを紹介させて頂いています。他にもブログに写真をアップいただいている方、お知らせ下さい。